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BtoBマーケティングにおいて注目するべきは最新のツールではなく「データ」そのもの
MA(マーケティングオートメーションツール)などの最新のマーケティングテクノロジーツール(マーテック)は膨大なデータの収集を可能にしました。一方でBtoB企業のマーケティング部門の多くは「収集したデータが分析できる段階にないビッグデータ(雑多なデータの集合体)のまま」になってしまっている課題を抱えています。
企業組織のマーケティング部門が活用できるマーテックは、以下のように多岐にわたります。企業のDX化が唱えられる中、テクノロジーを活用して自社のマーケティングプロセスをより効果的に変えるにはどうすればよいでしょうか?
正解は「どのようなマーケティングテクノロジーもマーケティングプロセスを効果的に変えることはできない」となります。その理由は、BtoBマーケティングの成功に必要なのは、最新のツールを導入することではないからです。データに焦点を当てて運用することこそが一番重要な要素なのです。
MAの導入で効果を出すためには何が必要か忘れていませんか?
従来のマーケティングでは、データはあまり重要視されていませんでした。しかし、データはマーケティングを効果的に実施し、目標を達成するためにデータは非常に重要な役割を果たします。
実際、多くの企業がMAを導入し活用すれば、売上に貢献するマーケティングを実践できると考えています。ところが、MAの導入が盛んになり始めてから十年以上が経過した現在でも、私たちは「思ったような効果を得られていない」との声をよく耳にします。こうした問題は、現在も継続しています。
つまり、MAの機能がいかに進化しても、それらを活用する際に最も重要となる「データ」の整備がしっかりとされていないのです。
収集されるデータは増え続ける一方、データ分析の準備は整っていない
企業組織では、各部門が集めた多様で膨大なデータが日々蓄積されています。例えば、営業マンが訪問した企業で交換した名刺の情報、展示会などに参加して収集した来場者の情報、電子メールなどで問い合わせのあった顧客情報などです。
加えて、購買プロセスが複雑化していき、デジタル上の顧客接点が増えるとさらにデータがたまっていきます。こういった個々の情報は増え続ける一方で、活用できる形になっていません。やがてデータだけがたまり活用できない状態の「ビッグデータ」だけが残ります。
データ活用が求められる中で、各部門が日々収集する膨大なデータを効果的にマーケティングに活用できるように統合・分析する準備が整っていないのが実情です。
データを統合・分析できるプロフェッショナルもどこにいる?
膨大なデータを参照できることは、マーケティングの観点から見れば幸運です。例えば、営業部門が自社の製品やサービスの購買者データをCRMなどで一元的に管理しているのであれば、すべての購買者データを属性などによって分析できるので、マーケティング部門は、データを通じて購買者の実像を理解できるでしょう。
しかしながら、大量のデータを統合・分析できる知識やスキルを備えた「データアーキテクト」「エンジニア」「ビッグデータ・アナリスト」などのプロフェッショナルがいないのも実情です。
BtoBにおける5つの主なデータ収集源
では、BtoBにおける5つの主なデータ収集源に分解して、どのような点に課題があるのか見ていきましょう。
1. イベント
様々なイベントに参加して、来場者の名刺情報を収集するのは、BtoBマーケティングにおけるリード獲得の最も一般的な方法です。営業社員は顧客や新規顧客の情報を得ることができ、マーケティング部門では顧客情報を新規マーケティングに活用できます。
しかし、イベントで収集したデータは顧客情報が不足しているケースもあり、マーケティングには役立たない可能性があります。さらには、名刺の管理が個人任せになっていると、それぞれが社内の異なる場所で保管・管理されることになるでしょう。
マーケティング部門はこのような役に立たないデータや分散管理されているデータを整理し、連携する努力を続けなければなりません。
2. ウェブサイト
企業のWebサイトを訪問してきた顧客の情報はマーケティング部門が個別の顧客を理解するのに役立ちます。
しかし、そのためにはWebサイトとMA・CRMなどの各部門が使うツールが連携していなければなりません。WebサイトとMA・CRMが有機的に連携していない状態では、データ活用を効果的に活用することは難しいでしょう。
3. 電子メール
電子メールキャンペーンは、見込み顧客や見込み案件など、いわゆる「パイプライン」に大きな影響を及ぼします。「どのようなターゲットにメールを送るか?」についての判断は、マーケティング部門にとって非常に重要です。そのためには、マーケティング部門はMAやCRMなどのマーケティングツールを活用しています。
しかし、MAだけでデータを分析し、ターゲットを抽出することは決して簡単なことはないため、ここでも各ツールのデータを統合が必要となります。
4. サードパーティーデータ
最近まで多くのマーケティング部門は、ターゲットとなる顧客情報をサードパーティーから入手することは、自社のマーケティングにとって有益であると考えていました。
しかし、サードパーティーデータは自社データと異なる分類体系を持っているため、有効活用しようと思えば、サードパーティーデータと自のデータを連結できる自動化プロセスが求められます。
5. セールス
営業部門が収集するデータは、CRMやERPなどに格納されているのが一般的で、これらのデータを活用しようと思えばマーケティングツールとの連携が不可欠です。
しかし、実際にはマーケティング部門が、営業部門が保有するデータまでも統合し、活用できるような体制が整備されていない企業は多く存在します。各部門が収集したデータをより効果的にマーケティングに落とし込むためには、MAとCRM・ERPにある顧客データを一元管理し、統合されたデータを活用できる体制を構築することが求められています。
上記5つのデータリソースは、どのようなビジネスでも当てはまり、マーケティング部門が日々直面している課題といえます。日々収集される顧客情報などの膨大なデータを統合・整理し、効果的にデータを管理・運用できる体制を整えることが重要になります。